旅行代理店ノマドのサハリン旅行を中心としたロシア専門部門「ロシア・セクション」

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RUSSIA SECTION

【ノマド|ロシアセクション】

4WDツーリング

テクニック編

「テクニック編」 と銘打っているが、ここで言う「テクニック」は、あくまで車で旅をするという前提で考えた時”そこでぶつかる困難をどう回避するか”という百戦錬磨の方にはよく理解されているような内容、即ちリタイアしないためのテクニックと思っていただきたい。だから、大げさに「テクニック」と語るようなことは特段ないように思う。単純にただ一点!「壊さないように行こう。」くらいだろう。これがテクニックといえるものかどうかは疑問だが、「道路事情」をお読みいただけたならその意味もご理解いただけるであろう。出発前にどれだけ多くの最悪をイメージできるか、そして事前にどれだけ多くの最悪をつぶせるか、そんな基本的なことがこういうところでは重要であると思う。クローズドコースのようにレスキューやオフィシャルがいるわけではない。ロシア極東で故障したら、それはそれは寂しいものである。ご想像いただきたい・・・。

ロシア極東では川に橋がかかっていない時がある。若しくは過去に存在したが今は痕跡だけとか、架かってはいるがおよそ2トンの車重をかける気にはならない橋のようなものとかだ。
いきおい渡河、渡渉を選択せざるを得ない。
しかし決まったテクニックはない。水量、川床のコンディション、アプローチ、ディパーチャー、川幅、車重、最低地上高等々多くの要素で最善と思われる方法を選択するだけだ。ただ共通することは、≪下見≫である。水深、水量、流速、川床は実際に河に入らなければ見当がつかない。その為ウェーダーは必携であろう。
そして流木の中から2m程度の竿を作り実際河に入ってみよう。竿は必ず上流側について杖のようにする(柳はダメだよ!)。川床を足で探る、多くの情報が手に入る。
そして、アプローチラインとディパーチャーラインを決めよう、多くの場合痕跡が残っているので参考となるが水量・流速によっては上流側からのアプローチラインを考えねばならないことがある。アプローチ・ディパーチャーでラインの選択肢がない場合は若干上流側にノーズを振って水圧に押されてディパーチャーにのせる、といった工夫が必要となる。
ギアの選択も意見が分かれるところであろう。4L2速とか4H1速とかいろいろ意見もあろうがケースバイケースである。車によって、河によって千差万別であり、最終的にはその車に乗りなれた本人の≪勘≫であろう。しかし原則論となるが、≪低いギアで且つ高回転が必要≫である。水深がある場合水圧が高い。よって排気圧力を高めなければならない。
また、渡渉中の≪シフトチェンジはご法度≫である。≪アクセルオフも絶対にやってはいけない。≫≪渡渉中の停止はもってのほかだ≫し、もしデフロックがあれば迷わず採用しよう
こんなところだろうか、、、。渡渉後のドラムブレーキについてはよく言われているとおりである。
上記はディーゼル車を対象にしてのインフォメーションだ。
もしガソリン車となるとさらに追加が必要だが次に譲りたい。

泥濘地

極東はサハリンを含めピートモスと呼ばれる泥炭地がある。
時に「湿原」と呼びたくなるような極悪マッドだ。出来るだけ避けたいところだが、道はそんななかに轍を刻んでいる。
「緑の絨毯に鮮やかに刻まれた2本の轍。」ロマンがあるが、実のところ『罠』である。その轍は、ほとんどがウラル・カマズの残したものであり、時に日本の4駆ではまったく歯がたたないことがあるので要注意だ。こんなときは車から降りて轍の深さと土質をチェックしよう。悪戦苦闘を強いられる自分の姿がイメージされるはずだ。ここでのテクニックは、「日本人を捨てロシア人になることだ」。日本人はここ最近の自然保護・環境保全の言葉を三つ葉葵の印籠のように受け止めるため、海外に出ても現地事情より刷り込まれた印籠の方が強い。 よってどうしても轍に沿って走ろうとしてしまいエライ目に遭う(日本の4駆乗りは環境保全を特に強く意識しているので、いいことなのだが、ロシアでは通用しない。)
そこで、ロシア式を採用する。それは「緑の絨毯に自分の轍をもう一組刻むのだ!」掘り返されていない絨毯は根が張り、しっかりと車重を受け止めてくれる。そしてその轍は一冬越すとまた絨毯に変わっている。このことは自然の回復力がすごいということの他に、前年掘り返されたごつい轍も隠しているという意味を含む。お気をつけ願いたい。ロシアでウラル・カマズの轍を追ってスタックしたら誰からも同情されない。「愚か者!」と一笑に付される。自然保護・環境保全はその国のありようで様々だ。懐の深い大自然を実感しよう。なお、ルート上どうしても轍をトレースしなければならない場面がある。そんなときは潔くスタックして「愚か者」を自覚しながら伏目がちにリカバリーに臨もう。スコップはもちろんのこと鍬の威力は絶大だ、是非一本そろえていただきたい。

モーグル

日本の競技場で見られるようなモーグルは当地にはほとんどない。あえてモーグルと呼ぶとしたなら『泥濘地』で紹介したウラル・カマズの轍だろう。この轍に沿って車輌を進めるなら亀の子スタックの可能性が高い、そこで選択できるラインがない場合この轍に対してジグザグに走行しなければならない。これがモーグルとなる。適したタイヤが必要なことはもちろんのこと、自車の車高とサスストロ-ク、ホイールベース、トレッド、車重によるトラクション等の感覚が身についていないと容易に対角線スタックとなる。テクニックというよりは如何に愛車の性格を理解しているかがスタック回避の決め手となろう。(しかし、多くのドライバーは言うだろう、「頭ではわかっているんだ!」私もその一人だ。)

海岸走行は、もし干潮であれば比較的容易であり、快適なことが多い。
注意が必要なことはもちろんだが、警戒すべきは砂浜スタックくらいと思う。
しかし一旦潮が満ちてくると一変する。大変危険である。なぜなら走行ルートが海面下に没するからだ。出来るだけ避けたい状況であるが、 挑戦しなければならないとき以下に注意してもらいたい。

1.岬や断崖絶壁が海上にせり出している先を回りこむようなとき。海面下には必ず険悪な岩場が存在している。鋭角且つ大きな障害だ。こんなところでパンクはごめんこうむりたいしドライブトレインに重大な損傷を与えたくない。慎重・慎重・細心。そして止むを得ない時の非常手段と心得るべき。はじめて訪れる場所のときは絶対にやってはならない。先導車がある場合とか、干潮で同じルートを何度も実走している経験があるとか、が前提条件のルートである。

2.当地の海岸線は昆布の宝庫だ。ロシア人は誰も食べないため昆布が海岸線に沿って壁のように堆く連なっている時期がある。時折乗り越えねばならないが大変滑りやすくドライブトレインに絡まりやすい。陸側から海側へ乗り越す場合は比較的容易だが、海側から陸側へは難儀することが多い。留意すべき点だ。

3.海岸線では多くの小河川が海に注いでいる。大・中・小様々であるが時に深く、また川床が砂利あり、砂ありとバラエティーに富む。下見が必要であることはもちろん、河によっては渡渉ではなく、大きく海側に立ち込んでの回避が必要の場合がある。
いずれにしてもラインの下見は絶対に必要であり、経験者のアドバイスに基く実行が不可欠だ。

※サハリン本島は東をオホーツク海、西を日本海と間宮海峡。南部はアニワ湾を擁し海岸線の性格は一様ではない。ルートコンディションは様々であり海岸線走行が想定される場合はツーリングコーディネーターによる助言を得ることと、先導車に続いての走行が必要だ。
※海岸線走行の場合は、牽引ロープを手元に用意するか、予めヒッチ、フックに掛けておくことが求められる。波打ち際、渡渉中のスタックからのリカバリーは急を要する。

ダート

サハリンは大部分がフラットダートだ。
ここでの注意すべきことは土埃・土煙・飛び石・ギャップ・路外逸脱等。路面が乾燥している場合先行車や対向車が巻き上げる土埃・土煙・飛び石に充分気をつけなければならない。車間距離を充分にとることなどにより視界を確保すること。
また減速など適宜判断が必要だ。なお後続車に充分注意をし、急な減速は別のトラブルを引き起こす可能性もあるため、視界不良が予測される際は予告ブレーキ等で後続車に減速の意思を伝えるなどのテクニックが必要である。
ギャップはいつでもありえる。予測運転が必要であり、また明らかなギャップではないが大きな波長のギャップが続く場合があり、車速が高いときピッチングが起こる。安全な速度での運行を心がけなければならない。路外逸脱は主に速度超過によるものと脆弱な路肩により引き起こされるものがある。充分注意されたい。
さあ!世の臆病者の四駆乗りよ、小心者の四駆乗りよ、ロシアは私たちのステージだ。一緒に旅に出よう!

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